親が亡くなって遺産相続をする際に、不動産は簡単に分けることが出来ないのでトラブルが起こるケースが良くあります。
では共有名義のまま不動産を放置しておくと、どのようなトラブルが起こってしまうのでしょうか。
相続できる遺産が実家一軒しかない場合で、兄弟が複数いる場合、理想的なのは相続人を一人決め、その人が相続を放棄した人に相応の現金などを支払って分割する方法です。
しかし、支払える程の貯蓄がない場合などに、安易に実家の名義を共有名義にしてしまうと様々なトラブルの原因となります。
それは共有名義の場合、全員の合意もしくは過半数の合意がなければ行えないことがたくさんあるからです。
例えば、相続した家が雨漏りを起こしているのを修理するなどは保護行為として独断で行うことができます。
しかし、賃貸契約を結んで不動産を貸したり、逆に解除したりすることは管理行為にあたり、過半数の合意が必要となります。
二人兄弟で共有している場合は二人が合意しなくてはなりません。
さらに不動産を解体して更地にしたり、売却処分をしたりする場合は変更行為となり、相続人全員が合意しなければなりません。
固定資産税の支払いは誰が行うのかなど、相続することで生じてくる出費に関しても、平等に分担するのはなかなか難しいです。
例えば父親が兄弟と二人で共有名義で実家を相続していたとします。
父が亡くなると、その子どもたちへ不動産が相続されます。
元々父の持分は1/2なので、子どもが二人いたとすると持分はそれぞれ1/4ずつになります。
その子どもたちが不動産を売却したいと考え、1/2の持分を持っている叔父へ連絡すると、叔父は既に他界していて、その子供たち3人が共有名義で相続していたとします。
すると一つの不動産に対して相続人が5人も出来てしまい、利権は複雑化してしまいます。
そこで売却処分しようとしても、疎遠な親戚同士ではなかなか話し合いが難航して、結果弁護士をはさんでの売却処分になり、お金も時間もかかる結果となりえます。
例え疎遠でなかったとしても、相続人が5人もいたら全員一致で意見を合わせることが難しくなってしまいます。
売却処分に合意しない相続人がいる場合、最終的には共有物分割調整や訴訟にまで発展してしまうこともあります。
共有名義で不動産を相続するというのは、一見平等に不動産を分けたようで、実際は問題の解決を先送りにしただけとも言えます。
自分の子どもたち、孫たちに嫌な思いをさせないためにも、安易に共有名義で不動産を所持するのは避けた方が良いでしょう。
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